埼玉県熊谷市-重竹歯科医院

はやし）に合わせフライパンをたたいていて、お囃子連に入った十歳のころにはすっかり耳でリズムを覚えていました。大総代になれるのは一生に一度のこと。大変ですが、光栄です。　《江戸時代は神輿（みこし）中心の祭り。明治に入り第弐本町区が、東京・日本橋の山車を購入したのがきっかけで、各町区が競って山車や屋台をそろえるように。名称も、そのころ各商店が祭り客に独自のうちわを配ったのが由来》　神輿から山車へ形は変わっても、疫病退散を祈る神事であることは変わりません。今も八坂神社から神様を神輿に乗せて、会場の真ん中に連れてくることから祭りがスタートします。　だから、開催日は毎年二十－二十二日を動かさず、絶対に「第三週の週末」にはしません。日を動かすと、単なるイベント、フェスティバルになってしまいますから。英語表記も「ＵＣＨＩＷＡ　ＭＡＴＳＵＲＩ」にこだわっています。　《一方、時代に合わせた進化も目指す。内輪だけの楽しみから、開かれた祭りへ》　昨年の人出は七十五万人といわれますが、個人的には年々減っていると感じます。県内でも南部では驚くほど知られていません。外からお客さんに来てもらうことは大切。さまざまな人との交流で、この地域に新しいビジネスチャンスが生まれるかもしれませんから。　今年は、初めてＪＲ湘南新宿ライン沿線の駅にポスターを張らせてもらうなど、宣伝に力を入れました。見せ方も工夫します。祭り期間中、山車や屋台の位置を携帯電話のウェブで検索できる試みや、各町区で個性が違うお囃子を統一し、一斉に演奏する時間もつくります。迫力ありますよ。　また、合併で市域が広がった今、旧市街地以外の市民にも、自分たちの祭りだと感じてもらえるようにしたい。太鼓や踊りなどのパフォーマンスで、参加できる場を用意しました。　熊谷も商店街の空洞化が進み、街中から子どもが減り、祭りの運営はますます大変になります。現状で自己満足しては何も生まれません。伝統を守りつつ、お客さんを呼ぶ工夫や「かっこいい」と思わせる演出を考え、祭りと地域を活性化させたいと願っています。　（柏崎智子）　子どものころからうちわ祭が大好きで、１０歳でお囃子連に入り、高校卒業後、祭りを担う若者の会「熊谷祇園会」へ入会。１９９５年から第弐本町区の総代、２０００年に副大総代、０５年から総代長となり、昨年の祭り最終日、大勢の観客が見守る中で今年の大総代を引き継いだ。父賢一さんも１９８４年に大総代を務めた。本業は歯科医師で、市歯科医師会副会長でもある。熊谷市宮町在住。５３歳。 2008年7月6日　東京新聞

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