歯医者は歯が痛くなる前に行くところ? 予防歯科ってなに?
皆さんは、歯医者に対してどのようなイメージを持っていますか?
実は、歯医者は、歯が痛くなってからではなく、歯が痛くなる前に行くところなのです。
歯医者は、歯が痛くならないように、問題が起こらないように定期的に通うところと考えましょう。
歯を守るために受ける歯科診療を【予防歯科】といい、世界的に推進されています。
自分の歯の健康を守るため、歯に対する日本と欧米の意識の違いと予防歯科について詳しくご紹介します。
日本と欧米の違い
その1 歯の残存数
日本人の歯の残存数は、欧米人と比べて少なく、多くの方が部分入れ歯や総入れ歯、インプラントなどを利用しています。
厚生労働省の2016年の調査によると、80歳での歯の平均残数は約17本です。
歯科衛生の知識が増えたことで、歯の残存数が増えてきていますが、まだまだ世界的に見て少ないのです。
その2 歯は自己管理のバロメーター
欧米では、虫歯や歯周病になるのは「自己管理ができていない」と判断され、
対人関係にも大きく影響を及ぼす可能性すらあります。
日本人は、虫歯や歯周病が身近な病気であるため、それだけで悪い印象を与えることはほとんどないでしょう。
その3 保険が適用されない
欧米では、歯科診療に保険が適用されないため、虫歯で歯が痛くなったり、歯周病で歯茎が腫れたりしてから治療に通うと、治療費がかなりの高額になります。
虫歯や歯周病は、初期の段階で治療を受けることで最小限の費用に抑えられます。
そのため、欧米では、歯科医院への定期検診を欠かさず、本気で虫歯にならない生活に取り組んでいます。
日本では治療費が低いという理由からか、「歯医者は虫歯になってから、歯が痛くなってから通うもの」という感覚の人がほとんど。
日本の素晴らしい保険制度が、悪い部分となって表れています。
虫歯と歯周病で歯を失うのはなぜ?
虫歯や歯周病は、単に歯の痛みや歯茎の腫れが起こる病気ではありません。
放置すると、進行して歯を失う恐れがあります。
虫歯と歯周病がどのようにして歯を失うことに繋がるのか、詳しくみていきましょう。
虫歯で歯を失う場合
(初期)
- 歯に黒い点ができたり、歯の表面がざらつく
- 痛みはない
(中期)
(後期)
- 虫歯→歯髄という歯の神経へと達すると、炎症を引き起こし強い痛みを引き起こす
- 神経を取り除く処置が必要
- 神経を取り除いた歯は、歯の根だけ残って神経は腐敗し、歯をなくす
歯周病で歯を失う場合
(初期)
- 歯の土台である歯茎が腫れたり、出血する
(中期)
- 歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができ、歯を支える骨が溶けて歯がぐらつく
(後期)
- 歯の根が露出して歯のぐらつきが大きくなり、を余儀なくされる
予防歯科で自分の歯を守る
歯を失わないためには、予防歯科という考え方について、もっと知っておく必要があります。
予防歯科とは、歯の健康を守るために、定期的に歯科医院で歯のクリーニングやブラッシング指導などを受けることです。
自宅で行うセルフケアと歯科医院で受けるプロフェッショナルケアの重要性をご紹介します。
セルフケア(普段の歯磨き)の重要性
虫歯は、口中に生息しているミュータンス菌が糖分をエサにして生み出す酸によって、歯が溶かされる病気です。
糖分を口の中に残さないことが虫歯予防に繋がります。
歯周病は、歯垢を構成する非常に多くの細菌によって引き起こされます。
歯垢も歯磨きによって取り除くことが可能です。
1日3回の歯磨きを、毎食後、できるだけ早いタイミングで行うことで、虫歯や歯周病のリスクを抑えられると考えられています。
自分の歯の健康を守るためにも、毎日できるだけ歯を磨くようにしましょう。
プロフェッショナルケアで行うこと
歯科医院で歯科衛生士や歯科医師によって行われるケアのことをプロフェッショナルケアといいます。
専用の器具を用いて、歯磨きでは落とせない歯石や、磨き残しによる歯の汚れや着色を取り除きます。
また、歯の染め出しをして、歯磨きで十分に磨けていないところを把握したうえで、ブラッシング指導を行う場合もあります。
セルフケアだけでは不完全な部分を補うためにプロフェッショナルケアをお勧めします。
虫歯や歯周病を予防するメリット
虫歯や歯周病は、口の中を見ることが癖づいていなければ、早期発見が難しい病気です。
進行してから治療を受けても歯を失わずに済む場合もありますが、将来的に早い段階で歯を失う恐れがあります。
定期的に歯科医院に通い、虫歯や歯周病を予防することには、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
メリット1 治療費削減
虫歯や歯周病が進行すると、複数回の通院が必要になります。
また、治療も大がかりになるため、それだけ費用もかかります。
つまり、虫歯や歯周病を予防し、早期発見・早期治療することで医療費を削減できるのです。
メリット2 食事を楽しめる
高齢になっても食事を楽しむためには、健康な歯をできるだけ多く残す必要があります。
80歳の時点で20本の歯を残す8020運動が推進され、近年は80歳の時点での歯の残存数が増えています。
食事を楽しむことができれば、人生を楽しむことにも繋がります。
様々な食事を摂ることに繋がり、歯の健康は身体の健康に直結するとも言えます。
歯を失っても入れ歯があるから大丈夫と思っている方もいるのではないでしょうか。
実は、入れ歯は食べ物や飲み物の温度や味を十分に感じられなくなるため、食事が楽しくなくなることも多いのです。
メリット3 会話に支障をきたさない
歯を失うと、うまく発音できなくなる場合があります。
発音できなくなることで、会話に支障をきたし、コミュニケーションをうまくとれなくなり、ストレスが溜まるお年寄りが増えています。
自分の歯を守ることは、コミュニケーション能力の維持に繋がります。
まとめ
歯医者は歯が痛くなってからではなく、痛くなる前から定期的に通うことが大切です。
定期検診は、虫歯や歯周病がないかチェックしてもらえるため、もしトラブルが起きていても早期に対処できます。
治療費削減や通院の手間を減らすことにも繋がるため、普段から歯医者に通っておくことをおすすめします。
80歳の時点で20本以上の歯を残せるように、自宅でのセルフケアを徹底し、定期的に歯医者でプロフェッショナルケアを受けましょう。